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私が体験した怖い話「パチンコ」

昔からの常連さんがやけに疲れた顔をして一人で来店してくださった時のお話です。

午後10時くらいに来店くださりカウンター席に一人で座ったその方。

見るからに疲れているような体調が悪いような、どこか表情も暗く・・・とにかく健康ではないような表情です。

「疲れてる顔をしてますね」

そう声を掛けるとこう答えます。


「そうなんだ。仕事が忙しくてよー。

仕事が忙しくて帰って休みたいのにパチンコに行けば必ず勝つから家に帰れないんだよ」


何じゃそりゃ!と正直思いました。

疲れているなら、いくら必ず勝つとはいえパチンコなんかに行かずまっすぐ帰ればいいのに・・・。

誰しもが思う事だろう。

その常連さんは続けます。


「真っ直ぐ帰ればいいと思うだろ?

でも必ず勝つから足がパチンコ屋に向いてしまうんだ」


そんなもんなのかなぁ?

パチンコの経験がない私からしたらよくわからない話でした。


そんな事を考えている最中、とある事を思い出したのです。

幽霊に取り憑かれているとギャンブルに勝てると聞いたことがあるぞ・・・。


そんな事を思い出すと点と点がつながり出したのです。

取り憑かれているからパチンコで負けなしで、こんなにも疲れていて、なのに休みもせずパチンコ屋に行くのでは?

私の頭は幽霊に取り憑かれている説でパンパンです。


これを本人に話すべきか・・・いや話さない方がいいかもしれない。

そんな事を考えながらお話を続けていました。

深夜12時を迎えようとしていた時、その常連さんはそろそろ帰るからハイヤーを呼んで欲しいとのこと。


「12時にお願いします」と電話を掛けると12時には10分から15分遅れるとの回答。

常連さんに確認したところ、それで構わないとのことでしたのでハイヤーを1台頼みました。


深夜11時50分過ぎ。

昔話なんかをしつつハイヤーの到着を待ちます。


深夜12時。

お店のドアが開いた気がしたので私はドアを見つめました。

10分15分遅れると言ってたのになぁなんて思いつつ。

常連さんも同じく開いた雰囲気を感じたのでしょう。

「お!きたか?」と言いつつクルッと振り返りドアの方を見ました。


私と常連さんは同時にドアを見たのです。


ドアは開いておらず、誰の何の気配もありません。

何だったんだろうとドアの方から常連さんに視線を移したその時でした。


常連さんの左肩の上にいるんです。

女性が。

物凄い顔で私を見ているんです。

肩ぐらいまで伸びた黒髪はベチャベチャで白装束を着ています。

何よりも物凄い形相でこっちを睨んでいる。


見た瞬間ヤバい!と思った私はすぐに視線を逸らしました。

そしてもう一度常連さんを見るとその女性は消えていました。


やっぱり取り憑かれている・・・

しかし本人にこの話はしてはいけない。

どういうわけかそう思いました。


10分後、ハイヤーが迎えに来て常連さんは帰宅しました。


それから10日ほど経った頃、その常連さんが来店しました。

入ってくるや否や「いやー参った!」と言います。

「どうしたんですか?」

「前まであんなに勝ってたのに今は行く度に負けるんだ」


常連さんの顔は表情も明るく健康的な顔に戻っていました。


憑き物が取れたのだろうけど・・・

あの女性はどこに行ったのでしょう・・・

成仏したとは思えない。

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