それ今から9年前の2月。
先輩と妻と3人、車で3時間ほどかかる町に用事を足しに行ったときの事です。
朝から出発し午前中に到着。
2時間ほどで用事を終え、昼食後その町にある大きなスーパーで買い物をして帰ることにしました。
そのスーパーは道路向いに大きな家電量販店があり、スーパーと家電量販店は地下通路で行き来できる構造になっています。
大型スーパーの駐車場に車を止めてスーパーでの買い物を後回しに、まずは地下通路を渡りその先の家電量販店に行ってみる事となったのです。
エレベーターに乗りB1を押す。
エレベーターは順調に降っていきやがて到着する。
エレベーターを降りるとそこには薄暗い通路がありました。
エレベーターから右を向き真っ直ぐに伸びる地下通路を歩きます。
その昔は使われていただろうモニターが左右の天井からズラーっと並んでいる通り。
少し薄暗く、気持ちの良い通路ではありません。
我々と同じ進行方向の人は居なく、女性1人男性1人とすれ違いました。
通路もいよいよ後半となりエレベーターホールが近づきます。
エレベーターホールにエレベーターが2つ並んでいます。
ふと前方をみると奥側のエレベーターに赤い服を着た女性が乗るところでした。
我々と進行方向が一緒の人は居なかったはず・・・なんて思いはしましたが、そんなこと気にもせず。
赤い服の女性が乗るエレベーターのドアが閉まる直前のことです。
エレベーターのボタンを押すと閉まりかけたドアが開いてしまい、申し訳なく思った私は先に乗った女性に謝ろうとすぐさまエレベーターに入りました。
すると確かに乗った女性がいないのです。
女性どころか人っ子ひとり乗っていない・・・。
無言でエレベーターに乗る3人。
やがてエレベーターは止まりドアが開きます。
しばらく無言で歩く3人。
少し歩いたところで私は先輩に確認しました。
「先に女の人、乗りましたよね?」
「赤い服のでしょ?」
「はい・・・。でも乗ってなかったですね・・・」
「見間違いかな?と思ったけど見間違いじゃなかったんだ・・・」
妻に確認するとやはり妻も見ており・・・
「やばい体験しましたね」なんて話をしながら買い物を終えた3人は帰路についたのです。
異変はその晩から起きました。
帰宅後、準備をして出勤した私。
仕事中に肩が異常に重く、体調も思わしくありません。
朝から動き続けていたので「疲れかな?」くらいにしか思っておりませんでした。
翌日。
何とも気だるい。
相変わらず肩が重い。
仕事中に肩の中の筋肉を直接握られる感覚がある痛みに襲われる。
そして、私は思ったのです。
「あのエレベーターの女性を連れて帰ってきてる・・・?」と。
異変は数日続きました。
体調は最悪です。
異変が起き始めて1週間くらい経過した頃でしたでしょうか?
妻は対面接客の販売の仕事をしているのですが、そこに仕事関係なく缶コーヒーを買ってきては小一時間お話して帰っていく「自称霊能力者」のおじさんがいるんだそうです。
その日も缶コーヒー片手にフラーっとやってきて、何でもない話を小一時間していたんだそう。
「もうこんな時間か・・・」と帰ろうと椅子から立ち上がり、振り向いて歩を少し進めたところで急に立ち止まり戻ってきて突然こう言ったそうです。
「旦那、最近調子悪くないか?」
そこで初めてエレベーターでの出来事を話し、その日以来調子が悪いという話をしたそうです。
「やっぱりか・・・。その女を連れてきてるから今日帰りに粗塩を買って帰って1日3回、朝、昼、夜と粗塩を溶かしたぬるま湯でうがいさせろ」とのアドバイスを受けたと帰ってきました。
「そのおじさん、その後最後に「旦那に伝えとけ」って言ってたよ」
「なんて?」
「この話、誰にもするなよ」
1日3回、粗塩を溶かしたぬるま湯でうがいを続け、3日が経過した頃、嘘のように体調が戻りました。
憑き物が取れたのでしょう。
ただ、私は言いつけを守らずこの話をし続けております。
今のところ何も起きてませんが・・・これから起こるのか、はたまたもうすでに起きているのか・・・。
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